【21.02.22】■新連載【第16回】未来を描く★同友企業〜ダイヤ工業(株) 代表取締役社長 松尾 浩紀 氏〜
未来を描く★同友企業<第16回>
ダイヤ工業(株) 代表取締役社長 松尾 浩紀 氏
〒701-0203 岡山市南区古新田1125
T E L:086-282-1245
創 業:1963年 入会:2016年
ダイヤ工業(株) 代表取締役社長 松尾 浩紀 氏
〒701-0203 岡山市南区古新田1125
T E L:086-282-1245
創 業:1963年 入会:2016年
会社の成り立ちと、社長に就任した経緯を教えてください
主にコルセットやサポーターなどの医療用品を製造し、整骨院や整形外科向けに通信販売をしています。最近は、農業・建築業向けの作業軽減アシストスーツやペット用サポーターも開発しています。もともとはイ草製品の製造販売をしていましたが、市場が縮小する中で祖父が縫製技術を活かしたコルセット製造に活路を見出し、父(現会長・松尾正男氏)がそれを引き継いで仕組みを整えました。父の代で会社は飛躍的に発展し、現在は社員数120人となっています。私は東京でIT企業に就職していましたが、父に「戻ってこないか」と促されて帰岡しました。兄(松尾健哉氏)がいるので、まさか自分が後を継ぐとは思ってもいませんでしたが、当てにされていると感じて嬉しかったのを覚えています。2006年にダイヤ工業に入社し、営業、開発、生産管理などの部署を一通り経験して18年に社長に就任しました。兄は、持ち株会社であるダイヤホールディングス(株)の社長に就いています。

同友会で学ぶきっかけは?
もともと3代目の栗正範雄さんが入会しており、先代の有松修一さん、そして私が引き継いだ形です。3代目は、同友会で学んだ理念経営に取り組み始めた矢先に病気で亡くなりました。先代からの引き継ぎもなく、突然経営者となった有松さんは、同友会でがむしゃらに学び、自社で実践していきました。経営指針の成文化に始まり、CI(コーポレート・アイデンティティ)活動として、理念・将来ビジョン策定、社名変更、社屋移転を一貫して計画し、積極的に投資や改革を行ってきました。同友会については、栗正さんの頃から私も一社員として参加を求められていましたが、単純に「行きたくない」という拒否感しかありませんでした。2010年には私も入会したのですが、自分からはあまり積極的に参加していませんでした。ところが、取締役就任を機に意識的に参加するようになると、有松さんが会社では見せない表情で生き生きと学んでいるではありませんか! それを見て、あらためて同友会に対する興味が湧き、積極的に参加するようになりました。
同友会との出会いは?
同友会に熱心に参加している父の誘いで、16年に兄と一緒に自然な流れで入会しました。社員共育大学や幹部社員大学などを中心に参加してきました。社員共育大学は年代に関係なく同じテーマで学べて素晴らしいので、若手社員と毎年参加しています。事業承継はどんな感じでしたか?
父の背中を見ながら「社長になったらこうしよう」と思っていましたが、実際にその立場に就いてみると思ったようにいかず、悩みました。心配してアドバイスをくれた父に対してもかたくなな態度をとっていました。いつからか父は何も言わなくなりましたが、胸中では言いたいことを我慢していたのではないかと思います。そんな時、ある失敗をしてしまい、自分なりに色々手を尽くした上で思いきって父に助言を仰ぎました。すると父は、それまでのギクシャクした関係を全く意に介することなく、文字通り親身になって様々なアドバイスをくれました。それからは私からも積極的に教えを乞うようになり、変なわだかまりも消えてしまいました。経営理念を社内にどのように浸透させていますか?
理念型経営の必要性は父の代からずっと言ってきているため、社員も十分理解してくれていると思います。ただ、理解と言ってもその深さはそれぞれなので、全社員の理解度をいかに同レベルにするかで苦心しているところです。尊敬する稲盛和夫さんの「京セラフィロソフィー」を参考に、自社の行動指針を明文化した「ダイヤフィロソフィー」という冊子も作り、朝礼で社員と一緒に読み合わせをしています。最近は日報にその中の文言が引用されていたり、面談の時に話題に上がったりすることが増え、徐々に浸透しつつあると感じています。新型コロナの影響はいかがでしたか?
従来の製品需要が減少して一時は厳しい状況でした。しかし、新製品開発にいち早く取り組むなど、積極的にチャレンジする絶好の機会でもありました。その過程でたくさんの人々にご協力いただきましたし、時流を捉えた事業展開ができました。でもそれは、今までお客様目線で商品開発に取り組んできた下地があったからだと思うんです。今後の展望
コルセットやサポーターは身体の痛みや不安がある時に使用するのが一般的ですが、当社の売りは“ウェアラブル”ですから、脱着が楽で着心地のいいサポーターを開発して、健康や運動器機能の維持のために使っていただけるものを提供したいと考えています。現在サポーターは海外17カ国で展開していますが、今後はアシストスーツも広めていきたいと思います。Webを使えば全世界がお客様で、その地域にあったオーダーメイドの物づくりも可能です。そのためには、物理的な距離に制約されずスピーディに製品をお届けする仕組みも構築していきたいと思います。当社は若い社員が多いのですが、みんなチャレンジ精神旺盛で前向きに取り組む姿勢が素晴らしいと思います。数十年先には彼らが会社の屋台骨を支えることになりますから、今後がさらに楽しみです。そこに関しては、人事担当の林大樹君の尽力も大きいと思っています。部署間の連携も良くなってきましたし、社員に「楽しい」「やりがいがある」と自然に言えってもらえることが私の幸せです。
インタビュー終了後、林さんにフロアを案内してもらいました。業務フロアではみなさん気持ちのいいあいさつで迎えてくれました。1Fのショップでは、社員さんがお客様の要望に耳を傾けながら、様々な商品の中から、その方に合う商品を紹介していました。一人ひとりの表情が輝いていたのが印象的でした。