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【20.04.02】<参加リポート1.>第50回中小企業問題全国研究集会in京都

<参加リポート1.>

第50回中小企業問題全国研究集会 in 京都
 「未来創造!『地域企業』としての自覚と実践を!」

2020年2月13日〜14日 於:国立京都国際会館

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全研は、中小企業を取り巻く様々な諸課題を「中小企業問題」と捉え、全国の同友会運動と経営の研究・実践を交流し、時代の変化に適応した運動のあり方と企業づくりの方向性を学び合う目的で例年開かれているものです。

今回は、「SDGsと同友会運動」「社員教育」「消費税」「地域経済ビジョン」などのテーマ別に18の分科会が用意され、それぞれ報告とグループ討論で学びを深めました。「BCPの取り組み」をテーマに据えた第5分科会は岡山同友会が設営を担当しました。

二日目の全体会では、選抜で五つの分科会から初日の学びについて座長による報告が行われました。第5分科会もその一つに連なり、座長を務めた山辺啓三氏(岡山同友会代表理事)が「BCPは防災計画と混同されがちだが、本来のBCPとは『労使見解』の精神に基づく経営実践そのものである」と報告しました。

記念講演には、LINE(株)の江口清貴執行役員が登壇し「足元にあるブルーオーシャン」とのテーマで話がありました。今や日常のコミュニケーションツールとしてすっかり定着した観のあるアプリケーションソフト「LINE」は、東日本大震災直後、近親者等の安否を確認したくてもメールや電話がつながらない状況が続いたことを契機に開発されたと言います。当初は、学童間のLINEを悪用したいじめなども問題視されたそうですが、江口氏は「地域の教育委員会に出向き、現場の情報から解決策の糸口を探っている。画一的な対応ではなく、徹底的にリサーチし突破口を開いている。問題点には必ず解決策がある」と強調しました。また「完璧さより、まず踏み出す勇気。感覚ではなく、データを信じる。『できない』から『できる』をつくる」といった同社の価値基準(LINE STYLE)を紹介し、社員はその基準に照らして自ら仕事の判断をしていることも説明しました。そして「地域における自社の存在意義を見直し、人と地域、企業と企業をつなぐエンゲージメント(絆)を高めたとき、足元にはブルーオーシャンが広がる」と語りました。

その後、二日間のまとめとして中同協の中山英敬幹事長が「厳しい経営環境だからこそ『労使見解』を学び直し、本気で取り組んで難局を乗り越えましょう。そして地域の課題を自社の課題と捉え、さらに人と人をつなげることに注力してまいりましょう」と強調。最後に「同友会運動に誇りと確信を持ち、全ての同友会で目標会勢を達成しましょう」と呼びかけました。

同友エコ受賞企業コメント

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同友エコ奨励賞

 この度の奨励賞授賞は、全社一丸となって目標を共有し、地道に活動を続けてきた賜物であります。4年前から「環境経営を実践する企業こそ地域社会が求めている企業」であると認識し、「エコアクション21」の認証取得を通じて環境システムの重要性を学び、社内実践を始めました。
 弊社は建築設備全般の設計施工管理を行っています。施工現場は県内外に分散しているため連携の困難はありましたが、年間環境目標を掲げた環境活動計画書に基づいて5W1Hを明確にし、PDCAを小さく早く回すことを心がけて実践を続けてまいりました。現場の作業内容や環境条件によっては目標の達成評価や効果判定が厳しい項目もありますが、弊社にとって最大の成果は、社員が環境経営を常に意識するようになったことです。今思うと環境経営の取り組みは、同友会が提唱する「自主的社員の育成」「人間尊重の経営」により近づくための道程でもありました。今年度は中小企業庁の「事業継続力強化計画」認定事業者にもなり、その実践も一歩ずつ積み上げているところです。
 環境経営の取り組みがBCPの課題克服の原動力となり、経営指針の推進力となって、社風や財務を変えてくれるという実感を掴んでいます。皆さんも自社の企業革新の一つの方策として「同友エコ」に取り組んでみてはいかがでしょうか?


株式会社成 和設備工業所 代表取締役社長 藤井 孝章
(岡山同友会代表理事)

 

分科会リポート

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●同友会運動と社会課題解決の世界的動向を考える

「SDGsと同友会運動」をテーマに開催された第二分科会は、(株)ヒロハマの広浜泰久会長と、アドバイザーの(独)日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センターの山田美和氏のご報告でした。欧州視察の報告から始まり、海外からも高く評価されたという同友会運動の先見性と普遍性、同友会運動とSDGsとの親和性の高さ、SDGsは二十世紀初頭から欧州で連綿と続く社会正義と人権および労働権の推進活動の歴史の上に立つものであること―など、多くの学びがありました。

討議では、「日本におけるSDGsは政府主導の取り組みが始まったばかり。企業は自社活動との紐づけに終始しがち」「環境破壊で地域の歴史的産品が消えつつあることへの対応が必要」などの意見がありました。私は「当社では看護助手と給食スタッフの不足という課題があるが、SDGsとどう関連づけて考えるべきかわからない」と発言しました。すると、「育児中の主婦や元気な高齢者、障害者やニートなどの人材はまだまだ発掘できる。ただし給与体系や教育体制を整える事が必要。それが実践できればSDGsで掲げられた目標の八(働きがいも経済成長も)と五(ジェンダー平等を実現しよう)の達成につながる」とご意見をいただきました。その他、多くの気づきをいただきましたので、次回の経営指針見直しに役立てたい思います。

(医)平病院 院長・理事長 平 資正

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●第4分科会に参加して

今回初めて全研に参加しましたが、とても学ぶことの多い会でした。私の参加した第四分科会では、「まじめに作った経営指針書を公表したら『人とカネ』が集まった!」とのテーマで、嵯峨運輸(株)の大井雅博社長(京都同友会)から会社に対する強い思いのこもった話を聞きかせていただきました。

私が特に強い関心を持ったのは、大井社長の社員に対する向き合い方でした。「理と利の融合」や「地の利は人の和にしかず」(人の和合団結には地の利は及ばない)といった表現を用いて説明され、社員と良好な関係を築くことこそが、会社が成長するために必要な要素なのだと考えさせられました。

自社を存続発展させるためにはどうしたらいいのか、思い悩んでいる企業も多いと思います。そんな中、大井社長のような考え方を学ばせていただき、とても幸運だと思います。今すぐに自社をどうにかできるとは思いませんが、今回の学びを糧に、少しずつでもよい会社にしていこうと強く思いました。

西日本建物管理(株) 取締役統括部長  春木 新矢

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