
- 報告者
株式会社 奥野組
代表取締役 奥野 一三 氏
(岡山北支部) - 事業内容
土木・建設工事一式(国土交通省・岡山県・岡山市/公共工事・民間工事)
| 開催日時 | 2026年2月17日(火) 18:30~ |
| テ ー マ | 地域に根ざし、地域と共に創る 奥野組の新たな価値 |
| 報告概要 | 同社は創業76年の長い歴史があり、県内の道路、河川など公共インフラの施工・維持修繕工事を通じて、人々の暮らしを支えてきました。 奥野氏が代表就任後、業績は赤字続きで、「景気が悪い」「政治が悪い」「社員が動かない」と、つい他責思考にとらわれていました。「どうせ会社をたたむなら、自分の手で」と覚悟を決めて過ごす中で同友会と出会い、学びと実践を重ねることで、自社の強みを見出すきっかけを得ることができました。他責から自責への意識転換を経て、経営の本質と真摯に向き合い、理念を策定。会社の軸が明確になりました。これまで築き上げてきた「今あるもの」への感謝の気持ちを胸に、社員とともに「地域にとってなくてはならない企業」へと成長を続けています。 今こそ、自社の強みや弱み、そして本当の価値とは何かを、あらためて見つめ直す機会にしましょう。 |
| 討議の(※) | 〇あなたの会社にとっての付加価値とは何ですか? 〇それを高めるためにどんな取り組みをしていますか? |
| 会 場 | 岡山国際交流センター+ZOOM |
「自社の今期の付加価値額はいくらですか」と聞かれたら、即答できますか?── 例会では、こんな問いかけが行われました。
付加価値は一般的に「売上高―外部購入価値(他社に支払った費用)」で表されます。しかし定性的な「付加価値」の重要性は議論されても、事実として自社が創出した付加価値額を定量的に把握している経営者は多くありません。その点を踏まえて、(株)奥野組の奥野一三社長(岡山北支部)の報告から具体的な付加価値向上の取り組みを学びました。当日は33人が参加しました。
同社は1946年創業、公共事業を軸とする建設業です。奥野氏は4年に事業承継し、自社の経営理念を作りたいとの思いで6年に入会しました。当時は参加できそうな会合には全て出席していたと言います。そんな中、故・赤石義博氏(元中同協会長)の「壁ならどこにでもある」という言葉に触れ、「それまで業績の不振は外部環境や社員が悪いからだと考えていたが、自分の考え方を変えれば可能性は無限にあると気付かされた」と振り返りました。
公共事業の入札は長らく価格ばかりが重視され、企業側の付加価値向上が難しい状態が続きました。しかし5年頃から総合評価落札方式が広がり、技術力や提案力、安全管理、労働環境の整備、若手や女性の活躍推進、災害に備えた体制(BCP)なども加点されるようになったことで、適正な利益を確保できる価格で応札することが可能になったそうです。つまり、顧客が求める様々な価値を提供することで一定水準以上の価格でも落札が可能になり、その価値にふさわしい利益が付加価値として具現化するということです。
同社では、「自社だからこそ生み出せる価値は何か」を社員同士が話し合い、自ら考え、行動につなげる仕組みが出来上がりつつあると言います。決して価格競争に巻き込まれることなく、顧客に選ばれる価値を創出し続けることが付加価値向上の鍵であることが伝わる報告でした。
奥野氏は「これまで築いてきた信頼と実績、そして会社を支えてくれている社員の知恵と経験のおかげで今日の当社があります。それに気付かせてくれたのが同友会でした」と語りました。今回の例会は、学びと実践を付加価値に結実させるために何が必要なのかを考える貴重な機会となりました。
参加者の主な感想

- 売上が大きく落ち込み、「このまま倒産してしまうのではないか」と周囲から心配されるほどの危機的状況だったにもかかわらず、誰一人として会社を離れなかった。むしろ「絶対に乗り越えよう」という思いが全員の中で強まり、士気が一段と高まったことに深く感動した。そして、その状況を誇らしげに、しかし飾らずに「社員を誇りに思う」と語っていた社長の姿にこそ、社員が揺るぎない信頼を寄せる理由があるのだと強く感じた。
- 外部からの表彰や、認証、同業者や異業種、教育機関、友人も含めて主に経営者が学んだことも付加価値になりうることを学び、付加価値について新たな気付きを得ることができました。
- 付加価値を“見える化”するために、経営者として外部で学ぶことが重要だと実感した。それと同時に社内への付加価値を高め、所属選手の満足度を高めることが、結果として、会社の付加価値を高めることに繋がると感じた。
- 付加価値が生まれる「元」を改めて見直す良いきっかけになりました。
- 奥野さんの最後の言葉「信頼される会社になる」「信頼される人になる」ことが目指す付加価値だと思いました。
- 付加価値というと『数字』を思いつくが、その付加価値を生み出す源泉について、考え直すことができた。
- 奥野さんのお話を伺い、同友会の人脈づくりや、他の組織の方々とも顔の見える関係をつくりながら、広く深く学んでこられたのだと感じました。見習わないといけないと決意した次第です。
- どんな環境下でも経営者として前向きに取り組む覚悟を学んだ。また、物事を多角的に捉え、広い視野を持つためには、多くの人と関わり、さまざまな価値観に触れることが重要であると感じた。


