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【 開催しました 】2019経営研究集会 − 企業づくりの実践と人材育成について学ぶ

〈第一部〉
企業づくりへの本気の覚悟と本気の実践
〜なぜ私の会社はいつまで経っても良くならないのか?〜


香川県ケアマネジメントセンター(株) 代表取締役 林 哲也氏
(中同協経営労働委員長・香川同友会代表理事)
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 第一部では香川県ケアマネジメントセンター(株)代表取締役の林哲也氏に、経営実践についてご報告いただき、グループ討論を行いました。林氏は自社の実践報告の中で、「条件付きではない社員との信頼関係をどう築くかが経営者に求められている」と強調。中小企業家同友会全国協議会で経営指針の実践を広げるプロジェクトに十年間関わる中で明らかになった「定期的に就業規則を見直している企業ほど業績がよい」という点を挙げ、「経営指針書に労働環境改善の方針を組み込み、少しずつでも実現し、良い会社になろう」と呼びかけました。
 各テーブルに置かれた同社の経営指針書は三部構成となっており、いわゆる指針書の部分に加え、「会社・個人の目標シート」「働く環境づくりのガイドライン」で編成されています。この指針書を参照しながら、「個人目標シートは毎年更新するものという文化が社内にできているので、育児休業中の社員も自分のページがあるという意識で目標を立てて取り組んでくれる」「経営指針は伝えるのではなく、一緒に作るもの」と述べました。
 討論テーマは「あなたの会社は社員の『砦(とりで)』になっていますか? 何が欠けていて、どう改善しますか?」でした。座長の山本修氏は、「外部環境、社内の人間関係から社員を守るのが経営者の役目。最低限の労働基準で満足せず、働く環境づくりを具体的にどう実践するのかが問われている」とまとめました。



〈第二部(教育講演会)〉
ほめて伸ばす!
〜ほめちぎる教習所のやる気の育て方〜


大東自動車(株)三重県南部自動車学校
代表取締役社長 加藤 光一 氏

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 第二部では、大東自動車(株)三重県南部自動車学校の加藤光一社長に、「ほめて伸ばす! 〜ほめちぎる教習所のやる気の育て方」と題してお話しいただきました。同校は、若者の自動車離れなどで教習所へ通う生徒が減少する中、「厳しい、叱られる」というそれまでの教習所のイメージを払拭するために「ほめちぎる教習所」として社内方針を一転。それを契機として生徒数が急増するとともに、運転免許試験の合格率向上、免許取得後三年間の事故率低減にもつながっています。
 加藤氏は、ほめて伸ばす実践のきっかけや、なぜほめることが重要なのかについて詳しく紹介。実際に自社でほめることを徹底した後の社内の雰囲気、社員と生徒の表情や雰囲気の変化について、「明るく笑顔のあふれる教習所になった」と述べました。また会場の参加者に、隣席の人同士で実際にほめ合うことを求め、体験を通じて「ほめる」ということがどのように人間同士の関係に影響を与えるのかということや、会社・家庭での活用法にも触れながら進みました。
 質疑応答では「ほめ合うための信頼関係をどう築いたのか」「どうやって会社にほめる風土を広めていったのか」などの質問が出され、加藤氏は「視点を変えること、相手の長所を見つけようと意識し続けることが重要。まずは相手との心の距離を近づけようとすること」「初めは上手くいかないことも多いが、継続して実践していると転換点がある。やると決めて実践することと転換点を見逃さないことが広げていくポイント」と応えていました。
 閉会挨拶には大西一夫実行委員長が立ち、「第一部、第二部それぞれで学んだことを持ち帰り、自社や家庭に取り入れ、是非実践してみてほしい」と呼びかけ、閉会しました。



2019 経営研究集会に参加して(参加者感想文より抜粋)

【第一部】
●永年企業づくりに真剣に取り組まれている林さんのお話は大変勉強になりました。社員にとっての砦になっているか意識して、これからの経営に活かしたいと思います。
●わが社では経営計画書や理念や思いを綴ったフィロソフィ手帳などは作っていますが、それらが一つにまとまった経営指針書はありません。指針書の中に従業員の働く環境に関する目標まであったことに
は驚きました。来期以降は経営指針書の作成に挑戦しようと思います。
●「理念は語るが労働環境は受け身」―確かに労働環境改善については指針書に入れていませんでした。来期の指針書に入れたいことがたくさん見つかりました
●社員と一緒にどのように指針書を作り上げるのかを示したロードマップは取り入れたいと思います。
●「社員の砦」については考えさせられました。私たちを取り巻く市場経済の中で、利潤第一主義から社員の生活を守り、人間性を高めていく経営者の責任を改めて再認識することができました。
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【第二部】
●ほめることで環境が変わることを知りました。普段から意識してできている訳ではなかったので、積極的に相手の良いところを見つけることで信頼関係が構築できて組織も良くなるということを知り、実践していきたいと思いました。先ずは家に帰り家族を褒めちぎりたいと思います
●ほめることの具体性は良く分かったが、同友会理念との結びつきが必要だと感じた
●今まで職場でもっと叱るべきかと迷うこともありましたが、徹底的にほめる月間をつくり職場環境や従業員のモチベーションがどのように上がっていくかという事を意識しながら取り組みたいと思いました
●ほめるということに凄い力があるのだと思いました。営業職で初めて会う人や話す人が多いので、長所を探す3Sということは活かせると思いました。相手を承認することと笑顔を意識していきたいです
●「ほめる」「承認」は相手を認めることが大切だと思います。以前よりそのように考えてはいましたが、加藤氏の話を聞いて一層重要なことだと考えることができました。ただ、ほめることは相手との関係を築くための手法だと思います。相手との関係が出来ていれば叱っても褒めても伝わるものだと思います。そのような意識を社内で浸透させたいと思います。

実行委員長ごあいさつ

2019 経営研究集会 実行委員長 大西 一夫 
((株)インターネット倉敷 代表取締役)  \;

 2019 経営研究集会に多くの皆様のご参加をいただき誠にありがとうございました。皆様のおかげで研究集会を無事終えることができました。心より感謝申し上げます。今年度は、全県行事の見直しに伴い、二部構成による新たな試みを行いました。全日程ご参加の方は、長時間にわたり誠にお疲れさまでした。
 中小企業を取り巻く環境は、急速に変わりつつあります。また、社会制度を始め、環境の変化により人の意識も変わりつつあります。『労使見解』には、「経営者である以上、いかに環境がきびしくとも、時代の変化に対応して、経営を維持し発展させる責任があります」と記されています。会社を維持発展させるには、私達経営者自身が自己変革を行い、環境適応していくことが求められます。
 今回の経営研究集会では、報告者のお話の中にそのヒントとなる気づきや課題がたくさん散りばめられていました。会員の皆様には、今回の学びをひとつでも会社やご家庭に持ち帰っていただいて、活かしていただければ本会の開催が意義あるものになろうかと思います。
 最後になりましたが、皆様のご健康とご活躍をお祈り致し、書面ではございますがお礼の挨拶といたします。

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