なぜ「女性活用」は失敗するのか?
2月17日、岡山シティミュージアムにおいて岡山市男女共同参画社会推進センター主催(岡山県中小企業家同友会後援)の講演会が開催され、約70人の方が参加しました。
同講演会は、企業関係者(経営者、男性管理職)と大学生を対象にしたもので、「なぜ『女性活用』は失敗するのか?」と題し、講師は女性活用ジャーナリスト研究者として多方面で活躍されている中野円佳氏でした。中野氏自身も二児の母であり、日本経済新聞記者時代から積み重ねられたキャリアから、なぜ女性が社会で活躍することが難しいのか、またなぜ企業が女性活用について問題を抱えているのかを分析し、性別だけでなく広くマイノリティ(社会的少数派)にスポットを当て、その集合こそがダイバーシティ(多様な人材を積極的に活用しようという考え方)からの経営戦略にとって大切だと訴えました。
1986年頃から法制度も見直され、時代と共に男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が確立されてきましたが、それだけでは根本的な働き方改革にはならないと説かれました。具体的には、幹部社員が憧れられる存在になること、社内での働き方改革は一度に一律に行うのではなく、一部で試しながら修正していくこと、育成するメンター(頼れる先輩)ではなく、(人事権をもつ)スポンサーをつけること、そして研修ではなく実体験をさせることだと述べました。これらの意識によって多様な人材がその個性を積極的に発揮する企業こそが戦略的に生き残っていくだろうと語りました。
最後に、地方の可能性にも触れられ、東京集中の弊害が育児にも現れてきており、育児中の女性たちが子どもにとって住みやすい場所を求めているとのことでした。求められる子育て環境の豊かさは、地域に根ざしている中小企業にとっても大きな課題となりうるのではと思いました。
(株)サンスタイル 取締役 石井 啓子