社会的弱者についての学習会を開催
Free Design(株)岡山事業所所長 大橋 佳奈
8月29日、障害者問題委員会として初めての試みとなる「社会的弱者についての勉強会」が開催され、22人の参加がありました。近年、障害者福祉の理念として「ノーマライゼーション」という考え方が広まるにつれ、全国の障害者問題委員会でも社会的弱者の定義や委員会として取り組む対象の範囲について議論されるようになりました。
岡山では、これまで主に特別支援学校との職場実習マッチング、岡山市就労支援部会や岡山県教育委員会との連携といった障害者に関わる取り組みの中で、障害者雇用であっても「人を生かす経営」であることに変わりはなく、障害者に限らず視野を広げることで、より深い学びと地域への貢献が果たせるのではないかと考えるに至りました。その第一歩として、社会的弱者について理解を深めることを目的に、今年度、3回勉強会を開催する予定です。
第1回目として「不登校・引きこもりの若者から読み解く、今どきの若者のくじけやすい心の理由とその対応の仕方」と題し、不登校・引きこもりの若者支援をしているNPO法人あかねの代表理事中山遼氏に発表していただきました。発表では、引きこもりの若者が就業した場合の経済効果の試算や、不登校から引きこもりへの連鎖の大きな要因となる制度上の課題、居場所・訪問支援から見えてきた不登校・引きこもりの若者の特徴と支援過程における変化や可能性など、事例や体験談も交えて語ってくださいました。人との関わり・経験不足による考え方の偏りや失敗に対する恐怖心から、一歩を踏み出せない若者が多く、いきなり就職やアルバイトではハードルが高いため、仕事体験や人との関わりに慣れる機会が必要との切実な訴えに、地域で企業が取り組める可能性を考えさせられました。
参加者からは、「身近に不登校や引きこもりの若者がいる」「新入社員への対応として参考にしたい」など様々な意見があり、想像以上に身近な問題で、障害者問題という枠組みを超えて学ぶ・知ることの意義も実感できた勉強会となりました。
次回以降のテーマとして、生活困窮者の支援、子供の貧困や病気療養児教育など様々な意見をいただき検討中です。今後も多くのご参加をお待ちしています。
●ノーマライゼーションとは
障害者や高齢者など社会的に不利益を受けやすい人々(弱者)が、社会の中で他の人々と同じように生活し活動することが社会の本来あるべき姿であるという考え方