魅力発信!
-New Face-第4回
この連載では「よい会社・よい経営者」をめざして学び始めた新会員さんにスポットライトを当て、同友会でどんなことを学び、どんな企業を目指すかを語っていただきます。日々奮闘している会員企業を紹介します。
(株) 二鶴堂
代表取締役 大西 肇 氏
2020年入会・備北支部
★二鶴堂は、新見市中心市街地の一画、すぐ傍らを高梁川が流れる風光明媚なロケーションに囲まれていました。
周辺には新見の山々が連なる雄大な自然が広がります
(株) 二鶴堂
<所在地>
〒718-0016 新見市金谷977-1 TEL:0867-72-1343
<事業内容>
社是:「社会のお役に立つ」を大事にし、デザインから製本・WEBまで取り組みます
<社員数>正社員:32人、パート:6人
会社の歴史、社名の由来
(山下)いい場所ですね! 二鶴堂さんはいつ頃からここにあるんですか?
(大西)1960年に私の祖父と知人の2人が創業し、この地には10年ほどで移りました。祖父はそれまで地図を製作していたのですが、印刷も手がけることになったため会社を興したようです。社名は、創業者2人で「末永くやろう」ということで、縁起の良い鶴を折り込んで決めたと聞いています。その後、父が事業を
継ぎ、今年五月に私が事業承継しました。95年には県内で初めて「水なし印刷」を導入し、以後「環境にやさしい印刷」を当社の独自性として前面に打ち出しています。ここ新見本社では主にデザインや製作を手がけ、岡山支社では営業活動を中心に展開しています。2拠点で38人の社員が働いてくれています
事業承継について
(山下)若くしてそれだけの大所帯を継ぐのは相当な覚悟が必要だったんじゃないですか?
(大西)子供の頃から自分が継ぐものだと思っていたので、覚悟はしていました。大学卒業後、勉強のために大手印刷会社に就職したのですが、配属先が人事だったので実務経験を積むことができませんでした。だから印刷に関する知識等は、30歳を目前にして当社に入社してから学びました。ウチは年始めに1年のスローガンを決めるのですが、3年ほど前から私に任されるようになり、承継も「そろそろかな」とは思っていましたが、父からははっきり「いつ」とは聞かされていませんでした。
(山下)お父さんは会社にいらっしゃるの?
(大西)週に1回程度は覗いています。会社からは少し離れようとしておりますが、現役で商工会議所などの活動もしていますし、町おこしにも力を入れており、観光客に新見の町を案内するなど地域活動も行っています。
新見について
(大西)新見は六十五歳以上の方が人口の40%以上を占め、人口も減って元気のない町になっています。自分が子供の頃は商店街の夜市で人がひしめき合っていたものですが、今では歩いている人も少なく、子供たちも進路を考える時に「市外に出る」という発想になってしまっています。
(奥田)僕も本社は真庭だけど自宅は岡山。岡山の方が子供の進路の選択肢が増えるからね。
(大西)そうですよね。それで今、「未来づくり会議」という有志の集まりに入り、市の補助金も使いながら駅前に若者が集まれる場を作ろうとしています。その集まりがきっかけなんですが、学校訪問をして授業で新見の地場産業について周知する活動や、中学生のインターンシップ前に講演をするなどの活動を行っています。子供たちが地域に愛着を持ってもらえればいいなと期待しています。
(山下)素晴らしい活動ですね!
(大西)「地域課題を無視してはこの先やっていけない」と、地域の先輩会員からも言われているので、地元の動向に関してはアンテナを張っていますし、自分にできることはやろうと思います。
(山下)近くにいい仲間がいるのですね。
地区の仲間とともに
(大西)年齢の近い会員仲間が近くにいるので、地区で月1回は集まっています。経営指針成文化研修会に参加したきっかけも新見地区会です。ウチには社是や社訓はあるのですが、バラバラしていてまとまったものがないんです。地区会で先輩から会の説明をされた時、「そういうものをまとめたものが経営理念かな」と思って入会しました。例会に参加してみて、この場の学びを理解するにはやはり成文化が必須だと感じました。
先輩会員からは「いつでも持ち歩いて常に見直すもの。だから指針書がないと話にならないよ」と言われました。でも、その方も経営指針が社内に浸透するまで長い時間かかったそうなので、まずは社員の話をちゃんと聞いて、こちらの話も聞いてもらえるような関係づくりが必要だと考えています。その上で、会社の歴史を踏まえて、みんなが納得できる方針を作りたいと取り組んでいる最中です。
今後のビジョン
(山下)今後のビジョンはありますか?
(大西)出会った人を元気にしたいという思いでやっています。仕事の流れのシステムは優秀だと思うのですが、なまじ分業化できているがゆえに新しいことにチャレンジしにくい傾向があります。みんな新しいことや変化に慣れていません。自由な発想で個性が生きれば、もっと幅広い仕事ができるはず。社員のポテンシャルを生かしきれていないので、そこを伸ばして元気を発信できる会社にしたいです。
●大西社長のおススメ●
最近力を入れているのが「自分史」づくりです。20年から公民館で毎週月曜日に「まとめたいこと無料相談会」と銘打って構えて待つ営業を始めました。反響は上々で、「人との出会いや人生体験の想い出をまとめたい」とご高齢の方が写真や日記などをたくさん持って来られたりして、普段の仕事では知り合えない方と出会うきっかけになっています。中には「いくらかかってもいい」とおっしゃる方もいて、料金は人それぞれです。ご依頼下さった方に価値を感じていただけて利益も出る事業に育て、将来的には柱の一つにしたいです。
記事:(株)イケル 山下 秀男