10月30日、岡山市内で経営者フォーラム「今日は一日『企業変革支援プログラム』三昧♪」を開催しました。今年のフォーラムは、岡山同友会の年度方針「経営力と経営姿勢の向上」および「『企業変革支援プログラム』の使い方や活用事例に関する企画の実施」を具現化する意図もあり、基調報告と3つの分科会で同プログラムの六つのカテゴリーを網羅。122人の参加者が学びを深めました。
Ⅱ.経営理念を実践する過程
Ⅲ.人を生かす経営の実践
Ⅳ.市場顧客及び自社の理解と対応
Ⅴ.付加価値を高める
Ⅵ.企業の社会的責任
全体会では、東洋産業(株)の玄地学社長(宮城同友会代表理事)がⅠ・Ⅱカテゴリーについて報告。「自社の現状を正確に把握し、目指す方向性を明確にすることが経営者にとって最大の責任」と説き、自社事業の定義と事業領域を見直して経営指針書に落とし込む必要性を訴えました。
また「経営者だけでは変革はできない」と指摘し、社員と問題を共有し、その解決に向けて全社一丸で取り組むことの大切さを強調しました。さらに宮城同友会では同プログラムを各種学習会や支部活動でも積極的に活用していることに触れ、プログラムに沿って例会の年間計画を立てている例などを紹介しました。
その後、参加者は各分科会に分かれて、それぞれのカテゴリーについて学びを深めました。
分科会終了後は再び全員が集合し、座長から各分科会の学びが報告されました。最後に守屋孝一実行委員長が閉会挨拶に立ち、「時代の変化に対応するためには企業の変革が不可欠。その第一歩は経営者の経営姿勢を確立することであり、そのためにも同友会で継続的に学び実践しましょう」と述べました。合わせて11月から始まる同プログラムのe.doyu 登録強化・普及月間について説明し、同プログラムの積極的活用を呼びかけて締めくくりました。
第1分科会には69人(うち会員以外の経営者の方6人)が参加しました。全体会に続いて玄地学氏から自社の第2創業への取り組みについて、企業変革支援プログラムのカテゴリー【Ⅳ市場・顧客及び自社の理解と対応】【Ⅴ付加価値を高める】を踏まえてご報告いただきました。
報告では、自社ブランドを立ち上げて全国に広がるまでの過程が紹介されました。現状認識(分析)を徹底的に行い、予測( 仮説)を立て、方針・目標を決めて実践すること、そして社員の声(現場・顧客の困りごと)を反映していくことが大切だと語りました。また、「地域の困った探し」を事業に取り込む大切さを訴えるとともに、付加価値を高めるために社員・顧客・取引先との信頼関係をより強固にしていくことも必要だと強調しました。最後に、同友会理念で支え、子供達が帰ってくる地域づくり、経営指針の全社的実践の大切さを訴えてまとめられました。
グループ討論では、①自社の問題と取り組むべき課題はなにか②自社は市場や地域、顧客になにを提供するか―を柱に討議しました。初めて顔を合わせる他支部会員、またベテラン会員や新会員が対等な立場で意見を交わす様子は同友会の醍醐味であり、活気あふれる経営者の学ぶ姿勢からあらためて同友会の良さを実感しました。その後、五つのグループから発表があり、「自社経営と理念の結びつけが必要」「付加価値を高めるには自社の魅力を向上することが必要」などが挙げられました。
最後に私が「中小企業は大企業が真似できない地域の困りごとを見つけ、それを解決する取組み・実践ができるかが肝心。そのためには普段から社員とのコミュニケーションを大切にし、顧客からの情報をキャッチし、企業変革支援プログラムを社員と共に実践することが大切。自社の存在意義を追求し、地域になくてはならない輝き続ける企業を目指して日々実践していきましょう」とまとめ、第一分科会を締めくくりました
第2分科会では「人を生かす経営」の中核とされる三委員会から、それぞれを代表する方々にご登壇いただきました。パネルディスカッション形式で各自の経験や事例をご発表いただき、プログラムの第3カテゴリ「人を生かす経営の実践」の5項目について、議論を深めました。
経営労働委員会からは経営指針の重要性が報告され、企業が社員と共に成長し、労働環境を整備するために経営理念の浸透が不可欠であると強調されました。経営指針の共有を通じて社員一人ひとりが企業のビジョンに共感し、自分の役割を理解することが、やりがいや成長意欲の向上に寄与するとのことでした。
また社員教育求人委員会からは、採用活動に留まらず社員の成長や働きがいを提供する職場環境の構築が重要であり、「共に育つ」という理念に基づいた意識改革が必要であると提言されました。さらに障害者問題委員会からは、「障害者雇用の促進は単に企業の責務であるだけでなく、共生社会の実現に向けた社会的責任である。障害者との共働を通じ、他の社員が人を大切にする意識を高め、多様な人々が活躍できる環境作りが大切だ」との考えが示されました。また、就業規則の見直しや労使間の対等なコミュニケーションの重要性が話題となり、経営者と社員が互いに意見を尊重し合う風土が21世紀型企業の実現に不可欠だと確認されました。
その後、「社員がいきいきと働ける環境」をテーマにグループディスカッションを行いました。社員が「何のために働くのか」という根源的な問いに向き合い、単に会社の利益を追求するだけではなく、社会への貢献や、一人ひとりが価値を感じられる職場環境の整備が不可欠であると議論されました。こうした価値観の共有と実践を通じて社員が自発的に学び成長する社風の醸成が目指され、経営者と社員が共に成長し合う「人を生かす経営」の理想像が描かれました。最後に、経営者自身が率先して変革支援プログラムに取り組み、社員が主体的に仕事に取り組める風土を築くことが企業の持続的な成長に繋がることが確認されました。
第3分科会では、「企業変革支援プログラム」の第6カテゴリー「企業の社会的責任」をテーマに、(株)アルマ経営研究所の松本直也専務による報告が行われました。報告では、中小企業診断士でもある松本氏の多くの経営相談の経験と、専門家としての深い視座で「同友会型企業の倫理観」や「事業活動の責任の在り方」などを自身の考えや経験を踏まえ話しました。
報告のまとめでは「まず社会的責任を果たそうとする意志を持つこと。社会的責任とは、自社の在りたい姿とステークホルダーの期待の一致を目指すための行動のことである」と締めくくりました。報告に続いて参加者20人が3グループに分かれ、「あなたの会社の社会的責任をどう捉えますか。これから何に取り組みますか」との討議の柱で約80分間意見交換を行いました。
中小企業の日々の事業活動ではなかなか意識されないテーマとも思われましたが、グループ発表では「『中小企業の社会的責任』について討議し、『企業変革支援プログラム』の重要性が認識できた。地区会で『企業変革支援プログラム』に取り組む」との意志表明もあり、有意義な討議であったことが確認されました。 最後に、私が座長のまとめとして「企業の社会的責任」が「企業変革支援プログラム」の最終カテゴリーとして記載されていることを踏まえ、「『中小企業の社会的責任』は第一カテゴリーから第五カテゴリーにある企業変革の実践の成果として当然に現れ、存在するものである。みんなで実践することが重要である」と締めくくり、終了しました。