第9講 中小企業憲章と中小企業振興基本条例 講師:慶應義塾大学 教授 植田 浩史 氏 |
この度の講義は、今までの同友会大学の総まとめの講義だったように感じた。中小企業振興基本条例をつくる上で、現在の日本の経済産業の問題や大切さを知ることができた。
現在の日本経済は、リーマンショック以降から若者が都市へ流出し、それに加え少子高齢化や団塊の世代の定年、企業数の減少から、生活条件の悪循環が起きている。地方で中小企業が継続することが最も重要であり、その中で地域資源を活用し新たな価値を創造することで、地域内好循環を促すことが必要である。
為替レートと月別輸出額は、2007年七兆円が2016年同じ為替レート時でも六兆円輸出力が低下している。しかし国内の自動車産業の変化より、輸出が減り海外生産が伸びていることも原因とも考えられる。
国内の地方の活性化が数値で見える、信用金庫の預貸率は参考になった。2015年は1998年時と比べ70%から50%へと20ポイント下がっている。また業種別にみても不動産業以外の借り入れが減っており、設備投資等がなくなってきていることが伺える。
AIの時代となり、今後企業の人手不足は解消されることが予想される。またAIを使った新たなビジネスが到来する。仕事がなくなる企業も出てくるが、人間にしかできない強みを生かすことが企業の存続のカギのような気がする。
「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の時代、少子高齢化や地域格差や消費の伸び悩みにより、地域内での資金の循環が停滞しており、地域外からの消費が求められている。中小企業は地域資源を発掘・発見・活用・創造し、新たなサービスや付加価値を付け、創り上げていくことが課題である。そのためも「三方良し」の考えのもと中小企業振興基本条例の制定が不可欠であることが理解できた。
わが社においても、新見の歴史文化を再認識して地域資源を活かした最高の料理やおもてなしを行い、未来の子供たちが笑顔で暮らせる地域にするためしっかりとしたビジョンを定めたい。何のために経営をしているのか、またわが社の役割を再認識し仕組みや仕掛けを作り、地域外から人を呼び地域内で消費できるようにする。そのためにも社員教育を行い、共に人間力を高め合うことや、良い経営者になり良き風土を築くことが重要である。色々な課題を一つ一つ実践し、PDCAをしっかり回し、継続発展することが地域貢献につながると感じた。
(株)楓 代表取締役 井上 富男
中小企業家同友会全国協議会(中同協)では、閣議決定で止まっている中小企業憲章を国会決議にすべく、6月を中小企業憲章・条例推進月間として全国的に取り組んでいます。岡山同友会広報委員会としては、中小企業憲章と条例について皆様の意識を高める取り組みとして、中小企業憲章をテーマに開催された同友会大学の内容を取り上げたいと思います。
(広報委員会)