< 参加者 >
岡山県中小企業家同友会
代表理事 松尾 正男 氏 (写真右上)
正副代表理事・組織委員長 奥野 一三 氏 (写真左上)
女性部部長 門田悦子氏 (写真左下)
青年部部長 安信政裕氏 (写真上中央)
事務局長 安本直一氏 (写真右下)
司会 = 広報委員長 山下 秀男 氏
今年度重点方針と仲間づくり
(山下)新年明けましておめでとうございます。今日は岡山同友会の新しい仲間づくりについて、少しでもいいきっかけにしたいということで皆さんにお集まりいただきました。普段からお感じになっていることも含めてできるだけ率直にお話しいただきたいと思います。まず事務局長から現状について説明をお願いします。
(安本)岡山同友会の2018年度重点方針は、「人を生かす経営の輪を広げよう」です。特に増強に直接関わってくるのは「会勢605人の達成」と「支部の垣根を超えた新しい仲間づくりの輪を県内に広げる」という二つの項目です。605人という目標は、各支部が協議して自主的に決めた目標値を合算したものです。
支部の結束力は大切ですが、そこに拘泥しすぎると県全体で目標を達成しようという気運が削がれる面もあります。支部間の協力も必要ですから「所属支部に関わらず県全体で協力し合って仲間づくりを推進しましょう」というのが今年度の大方針です。ただ11月理事会時点での会員数は554人で、3月末までに605人という目標には届いていません。
(山下)実績としては動けてないところも結構あるということですね。組織委員長として奥野さんのご意見はどうでしょうか?
(奥野)組織委員会としては県の重点方針に沿って605人の目標達成を目指しています。一番気にしているのは雰囲気ですね。岡山同友会は学びの場が非常に充実していて、全国と比べても全く遜色ないどころか、誇るべき点も少なくないと思います。ただ、誰もがその良さを十分実感するにまで至っていない状況があるように思います。新会員の方も、ひょっとすると入会当初しばらくは自分の居場所がないと感じられるかもしれませんが、そこを少し辛抱して積極的に参加していただければ必ず魅力が伝わると思います。
組織委員会としては、入会していただくきっかけを増やすことと、新会員の方が同友会の良さにできるだけ早く触れる機会を提供したいと思っています。しかしそこから先は会員みんなで「一緒に学びましょう」と声をかけ合っていただかないと前に進みません。そのためにも「全員で一緒にやっていこう」という雰囲気が大切だと思っています。
(山下)会で学んでしっかり実践して成長している企業も多いし、学びの場も整っているのに、どうして数字が追いつかないんでしょうね。
自社経営と同友会の不離一体シート
(奥野)経営課題は誰もが抱えているはずです。でも業種による課題の特殊性や専門性が高くて、会内でどう学んで解決していったらいいのかわからないのかもしれません。委員会それぞれの活動内容は充実しているのですが、横のつながりが薄い。同友会で言われる「自主性」や「自助努力」は、換言すれば他者を尊重するということだと思いますが、尊重するが故にお互いの距離間や遠慮もあるなっていうことを最近つくづく思います。
新規顧客の獲得に悩んでいる方は多いと思いますが、同友会の増強活動を通じて解決のヒントが発見できれば自社経営にも絶対有効に働くはずなんですけどね。そこがうまくいかないということは、恐らく自社経営でも苦しんでおられるのではないかという気がします。
(山下)現状の自社の課題と同友会の課題とを紐づけて考えると、ヒントはそこにあるのではないかということですね。委員長から現実的な課題が出てきましたが、松尾代表は今の話を聞いてどのようにお考えでしょうか?
(松尾)横ばいの状態に対して我々がどのように危機感をもつか、役員がどう感じるかというのが非常に重要だと思います。会社だと倒産に近づくような状況ですからね。
やればできるという風潮が会内に必要ですね。同友会で学んで自社がよくなったという実感がないと意味がないと思う。今まで会に熱心に関わってくださった先達による蓄積もあるので、必ず役に立つ会だという自信はあります。それなのになかなか会員が増えないというのは、ひょっとすると「同友会で学んで自社が良くなった」という実感を抱いている方が少ないのかもしれません。指針書を作成して採用と人材育成に取り組んでみてどうだったのか。例会で聞いたことを自社に持ち帰って実践してみてどんな成果があったのか。それを各社が検証する必要があると思います。県外の役員の話を聞くと、学んだことを自社に落とし込んで実践する、その徹底度が全く違うと感じます。
(山下)そうですね。同友会の学びを実践に移して成果を出している事例を目の当たりにしても、「あの人だからできるんだ」という言い訳に終始して、「自分もそうなろう」とはならない。どれだけ素晴らしい報告を聞いても、他人事と考えている限りは結局自分の枠の中だけで終わってしまうのかなと思います。検証については、『不離一体シート』を作成して自社経営と同友会の学びの関連を振り返ってみると、自分でも気づかないうちにリンクしていたことも見えてくるかもしれません。(奥野)経営課題は誰もが抱えているはずです。でも業種による課題の特殊性や専門性が高くて、会内でどう学んで解決していったらいいのかわからないのかもしれません。委員会それぞれの活動内容は充実しているのですが、横のつながりが薄い。同友会で言われる「自主性」や「自助努力」は、換言すれば他者を尊重するということだと思いますが、尊重するが故にお互いの距離間や遠慮もあるなっていうことを最近つくづく思います。
新規顧客の獲得に悩んでいる方は多いと思いますが、同友会の増強活動を通じて解決のヒントが発見できれば自社経営にも絶対有効に働くはずなんですけどね。そこがうまくいかないということは、恐らく自社経営でも苦しんでおられるのではないかという気がします。
(山下)現状の自社の課題と同友会の課題とを紐づけて考えると、ヒントはそこにあるのではないかということですね。委員長から現実的な課題が出てきましたが、松尾代表は今の話を聞いてどのようにお考えでしょうか?
(松尾)横ばいの状態に対して我々がどのように危機感をもつか、役員がどう感じるかというのが非常に重要だと思います。会社だと倒産に近づくような状況ですからね。
やればできるという風潮が会内に必要ですね。同友会で学んで自社がよくなったという実感がないと意味がないと思う。今まで会に熱心に関わってくださった先達による蓄積もあるので、必ず役に立つ会だという自信はあります。それなのになかなか会員が増えないというのは、ひょっとすると「同友会で学んで自社が良くなった」という実感を抱いている方が少ないのかもしれません。指針書を作成して採用と人材育成に取り組んでみてどうだったのか。例会で聞いたことを自社に持ち帰って実践してみてどんな成果があったのか。それを各社が検証する必要があると思います。県外の役員の話を聞くと、学んだことを自社に落とし込んで実践する、その徹底度が全く違うと感じます。
(山下)そうですね。同友会の学びを実践に移して成果を出している事例を目の当たりにしても、「あの人だからできるんだ」という言い訳に終始して、「自分もそうなろう」とはならない。どれだけ素晴らしい報告を聞いても、他人事と考えている限りは結局自分の枠の中だけで終わってしまうのかなと思います。検証については、『不離一体シート』を作成して自社経営と同友会の学びの関連を振り返ってみると、自分でも気づかないうちにリンクしていたことも見えてくるかもしれません。
プレイングマネージャーから「経営者」へ
(門田)私も「皆さん学んだことを自社の成果に本当につなげられているのかな?」という疑問があります。経営者フォーラムの実行委員長を担当した時に実感したのは、プレイングマネージャーが多いということです。お誘いをしても「今、忙しいから」とか「それどころじゃない」と言われる方が結構多かったんです。でも本来は、忙しいからこそ外に出ないといけないと思うんですよ。私だって本当に忙しいですよ。でも社内で「これからは経営に専念する」と宣言してからは、会社は以前よりずっとよくなりましたし、社員も成長しました。目の前の仕事に囚われて忙しいって言っていたら、きっといつまで経っても忙しいままだろうと思います。そこから脱しないと駄目ですね。鋤柄さ( ※ ? ) んが「プレイングマネージャーをやめて経営者になれ」と強調する理由がよくわかりました
例会や役員会には必ず出席する、自分たちが決めたことは絶対にやり抜く、時間や期限を守る―そういう経営者として当たり前の姿勢を学ぶためには、会社から出なければダメなんですよね。だから私の中では同友会の優先順位は高いですし、そういう経営者を地域に増やすためにも会員増強が必要だと感じています。
(山下)経営者が本当にしなければいけない仕事は何なのか、なぜプレイングマネージャーじゃだめなのかということですね。それから同友会って、そもそも経営者以前の社会人として当然のマナーに気づいていただく機能もあると思うんですよ。
(門田)だから自分がそこをちゃんとするかどうかの意識が、経営者の自己変革なんだろうと思います。誰からも罰せられることはなくても自分の意志で実行するという根本的な姿勢が弱いと思います。
(山下)そこの温度差ですね。「参加することで義務を果たした」みたいな。報告やグループ討議から何をどのように学んで帰ろうかっていう貪欲さがない。そこは教えても分からない所で・・・。
(門田)でも同じような立場の人なら理解できると思うんです。私は事業を継いだ立場なので二代目や三代目の人のところにいく。創業者は創業者に話をする。そうやってモデルになる人がお誘いすることは有効だと思います。女性部もそういう切り口で仲間を増やそうとしています。そうすれば支部の垣根も超えられますしね。
(山下)その人に最もふさわしい方を紹介してあげるということですね。プレイングマネージャーの話が出ましたけど、青年部なんかはどうですか?
(安信)青年部にはまだまだ十分落とし込めてないのが現状なので、同友会の本質と言われる学びをやっていかなきゃいけないっていうのがあります。私が入会した当初は吉備高原支部に所属していたので、周囲に学ぶ熱気があったし環境もあった。僕も周りの方々を見て「こんな経営者になりたい」と思って入ったんです。今の青年部も、本質・本流の学びにもっと真正面から向き合ってほしいと思っています。
増強に関しても、僕らは人を集めるのは得意ですが、クロージングしたり本質的な学びにつなげることができていない。若くて起業したての人も多いので、入会して希望は持てているけど不離一体シートを描けるほどの会歴がない。経験の浅い人が「良かったよ、自分変われたよ」と誘っても説得力が薄いんですよね。僕らも「こんなに変われたよ」というのは伝えていますが、具体的な実績を示すことができるモデル経営者がまだいないというのが現状です。でも元気はあるので、そこを県全体で上手く仕組み化してやっていくといいものになるんじゃないかと思います。
(安本)私は集客と増やすことは全然別のことと考えた方がいいと思っています。全国でも、SNSなどのおかげで確かに発信する情報量は増えたけれども、増やす力はむしろ衰えているとうということがよく言われます。例会のオブザーバーも「いいお話で勉強になりました。また機会があれば誘ってください」で終わることが多いんですよ。一つには、目標・手段と目的の取り違えが起きているんじゃないかと思います。本来の目的は仲間に加わっていただくことですけれども、例会に参加すること自体が目的になってしまっている。誘った方も誘われた方も、例会に参加した時点で気分的に完結してしまっているような気がします。双方ともに何のために例会に参加するのかという点が曖昧になっているんじゃないでしょうか。
「うちは同友会で勉強してこんなに良くなった。あなたの会社も良くなってほしいからぜひ仲間に入ってもらいたい」と、即入会していただけるのが理想的です。すぐに入会が難しいなら、「今度こんな例会があるから、実際の雰囲気に触れてみて入会を検討してください」ということでオブザーバーとしてご参加いただく。オブザーバー参加はあくまで方策でしかないですからね。デパ地下でも試食品だけたらふく食べて「ごちそうさま。お腹いっぱいです」って言ったら、やっぱりそれはちょっと違うでしょう?
でも松尾代表も指摘されましたが、同友会に入会して自分の会社はこんなに良くなったという確信が持てていないと、そういう誘い方はできないと思うんですよ。
(山下)オブザーバーに伝えるべきことは何なのかというのは一回整理しておく必要があるでしょうね。おそらくこれからも情報の発信はますます簡単になるでしょうけど、マッチングする割合は減ってくると思うんです。集客力は大切ですけれども、そこから先をどうつなげていくかを考えていかないといけないと思いますね。
(松尾)入会希望者が憧れるようなモデル企業がどんどん出てくるようにしたいですね。学んだことは絶対に自社に持ち帰るという貪欲さがもっと必要だと思います。一生懸命やればやるほど新しい課題が出てくるし、新しい取り組みも必要になってくる。そして壁に突き当たったらまた学ぶ。その繰り返しですよ。
いい会社が増えると地域が良くなるということも、自社がどれだけ社会に貢献しているかを実感する機会が増えればもっと理解しやすくなると思います。岡山同友会も全会員の地域貢献を数値化するとすごい値になるはずです。しかしそれでもまだ県内企業のわずか2.05%の組織率しかありません。
(安本)広島の川口さ( ※ ? ) んが「自分だけが学んでいくら会社が良くなっても、周りも同じように良くなってもらわないと地域全体は疲弊していく。だから同友会にとって最大の地域貢献は共に学ぶ仲間を増やすことだ」と言われて、まさにその通りだと思いました。岡山でも、地域の将来に対する危機感が強いエリアでは会員数が増えています。
でも危機が迫っているのは都市部も同じだと思います。第四次産業革命の進展や、これから消失する仕事がどんどん増える、といった話がごろごろ出てきているような状況ですからね。不安には対象がありませんが、恐怖は対象がはっきりしています。だからいたずらに不安を煽るのではなくて、対象を見極めて正しく怖がることが大切だと思います。そのためには正しい情勢認識が必要です。会内でもっと情勢に関する議論が必要ですね。
(山下)だからこそ10年ビジョンが必要なんでしょうね。しかし岡山同友会では指針書を作っただけで止まっているような印象があります。全国に行くと、企業変革支援プログラムも「ステップ2」を自社でどのように活用するかということが議論されているのに、岡山では「ステップ1」の普及すら徹底していない。やっぱりかけ離れていますよね。ただ、こうすべきだっていうのを強調しすぎるとみんなが付いていかないような気がします。
(安本)ここでも目的と目標・手段の取り違えがあるのかもしれません。目的は例えば、将来も持続的に発展する中小企業を県内に増やして地域を活性化させようということです。そのために、今年は何人まで仲間を増やしましょう、企業づくりに取り組みましょう、というのが目標です。「何のために」ということを常に念頭に置いていなければ、どうしても目の前の目標にばかりに気を取られがちですから。
将来の危機に関しては、業種も規模も年齢も、創業者か後継者かということも関係ないと思います。むしろ若い人ほど先は長いわけですから、危機と直面する機会も多いし期間も長い。ですから先ほど安信さんのお話にもありましたが、青年部の皆さんにはやっぱり切迫した危機感を持って自社を変えて行こうというメンバーを増やしていただきたいですね。そうすれば同友会に対しても確信を込めて語ることができるんじゃないでしょうか。
(山下)私たち会員も支部や委員会や部会に関わらず、なぜここにいるのかということをもう一度あらためて考えてみないといけないんでしょうね。
人を生かす経営の輪を広げよう〜新年の抱負
(山下)では今までの議論を踏まえて、皆さんの今年の抱負を伺ってまとめにしましょう。安信さん、いかがですか?
(安信)他県の青年部のメンバーの間では、「決算書が読めないの? そんなことで仕事できるの?」といった会話が当り前に行われているんですが、岡山はそこまで踏み込んで言える人がなかなかいなくて・・・。若い世代の仲間とも危機感を共有して、「もっと広い視野をもって本気で学ぼう」と誘っていきたいと思います。
(門田)女性の経営者にとっても、同友会以外に経営をこれだけ体系的に学べる場は他にないんです。でもどこにも所属しないで一人で悩んでいる女性経営者は大勢いらっしゃると思います。そんな人たちのためにも、会内で成功事例やモデルをつくって、地域で女性経営者が学んで成長している姿を示したいですね。それに同友会で活躍できる人材ももっと育成する必要があります。女性会員は50人以上いますが、実際には出席率は低いし役員も少ないから、人数を増やすしかない。それが私の課題です。
(松尾)何事も根拠が大切だと思います。どんな会社でも新人を採用する時は、明確な根拠に基づいて今年は何人必要なのかを定めて募集をしていると思います。同友会も「こんな会にしたい」「こんな経営者になっていただきたい」というビジョンをもって、根拠のある会員数を目指すことが必要だと思います。
会社でやっていることと同友会でやっていることは根源的には同じはずです。そういうイメージで会運営をしていくと、また変わってくるんじゃないでしょうか。私は、経営者も代表もなりたくてなったわけではないけれども、役をいただいた以上は責任があります。新しい会員の皆さんには、できるだけ早いうちに同友会の良さを実感していただけるよう私も積極的にお誘いしていきたいと思います。
(奥野)私は組織委員長を仰せつかっていますが、本当は一番苦手な分野なんです。でも苦手だからこそ学べることも多いんです。
今、かつて誰も想像できなかったほどのスピードで市場環境の変化が進んでいます。指針がなければ、顧客はもちろん協力者すら得られなくなってきています。急変する外部環境の中で、考えが明確でない人に対しては誰も協力できませんから。そういう時代です。だから同友会がやっていることっていうのは本当に重要なんです。これからますます存在感が高まっていくと思いますし、そんな同友会の良さを多くの経営者に知っていただけるよう邁進したいと考えています。
(安本)企業にとって最大の地域貢献とは、まずもって自社を良くすることだ思います。そう思って企業づくりに本気で取り組んでいただける会員企業をいかに多く輩出できるかというのが我々の課題です。
事務局にいると外部からの期待が年々高まっていることを実感する毎日です。そうした地域の期待に応えるためにも、専従者しか担えない役割を追求していきたいと思います。
(山下)私も今までは自分のことで精いっぱいで、他の人にどうこう言える立場じゃないと思っていました。でも、共に育つことが目的だと考えると、言いにくいことをあえて意見することも必要なんでしょうね。まだまだ同友会のすごいところを生かし切れていないと実感しました。広報委員会も目的を見直して、今年は目に見える形で実績を残していきたいですね。皆さん、今日はありがとうございました。