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【23.04.21】<中小企業のSDGs最前線-最終回>(株)二鶴堂

各社のSDGsの実践を取り上げることで、いかに自社事業と課題を結び付け、今後どのように取り組んで行くか―皆様の実践のきっかけとなる先進事例を6回シリーズで取り上げます


中小企業のSDGs最前線
~我が社の取り組みを紹介します~

(株)二鶴堂代表取締役 大西 肇 さん(備北支部)

<所 在 地> 新見市金谷977-1 TEL:0867-72-1343
<事業内容>印刷物全般、デザインサービス、ホームページ、動画、SNS など デジタルコンテンツ制作・支援
<W E B> https://www.nikakudo.co.jp/

もったいない精神からゴミを商品に

(山下)SDGsに取り組み始めたきっかけは?
(大西)うちは昔から「環境に配慮しよう精神」が息づいていて、1995年には環境にやさしい「水なし印刷」を導入しました。その後、2003年に環境ISO14001に取り組み始めたこともあって、ごみの削減や節電など、社員も一層意識するようになりました。
(山下)独自の取り組みもあるそうですね?
(大西)そうなんです。社員のアイデアを募ったところ、廃材となっている余り紙を利用したメモ帳を作る案が出てきました。印刷業界では昔からあるちょっとしたアイデアですが、当社では柄物のテープで背を巻いたり、小口に模様を施すなど、社員が積極的にアイデアを出し合ってどんどん進化してきたんです。
(山下)きちんと装丁されて、これなら商品としても通用しそうですね。
(大西)ええ。100円、200円程度のものですが、現在はオリジナル商品として販売しています。端材の商品化ですね。

部門を超えて全社的な関わり

(山下)どうやって社員の積極性を引き出したんですか?
(大西)「経営指針」と言うと伝わりにくいので、「みんなの知恵を出し合って新しいものを生み出してくれ」と言い続けてきました。すると、社内に「ホームページ委員会」とか「廃材活き活きクラブ」などのグループが組織されて、社員たちが部門を超えて意見交換をするようになりました。その中で、単にアイデアを出すだけじゃなく、品質をさらにブラッシュアップさせる仕上げ担当、端材を集める印刷オペレーター、技術面で助言する人、自社製品を買う社員などが現れて、最終的にはほとんど全ての社員が関わるようになりました。
(山下)全社的に回りだしたんですね。
(大西)流れはできましたね。昨年の8月に販売を開始すると、すぐにメディアで紹介され、2月までに約200冊を販売しました。もとは廃材なので材料費もかからず、社員のアイデアが付加価値になり、印刷業界では珍しいオリジナル商品になりました。他にも生き残り策の一つとして独自商品の開発を模索しています。

今後の課題

(山下)課題はありませんか?
(大西)もちろん本業である印刷がメインですから、現状はあくまで「おまけ」の仕事にとどまっていることと、廃材を再利用するので数量が確保できないことが難点ですね。量産できる体制も組めていません。
(山下)どうやったらもっと展開できると思いますか?
(大西)量が作れないなら他の付加価値を盛り込んだらどうかと考えています。工場見学やワークショップによる製作体験なども面白そうです。ただ、今はそこまでの余力がないので、徐々に体制を整えていくことが課題です。

これからの展望

(山下)課題を解決して、今後はどんな会社になりたいですか?
(大西)社員の声から生まれたものが形になり、社会に評価されたことはとても嬉しく思います。社員も活き活きしているし、自由な意見が出て、アイデアを形にする土壌も少しずつできてきました。そんな取り組みの中から、今後ひょっとしたら会社が変わるような画期的アイデアが生まれるかもしれない。社員の行動から、会社の変化を生み出せるようになれば、地域で輝く会社、誇れる会社になるのではと思います。社長になって2年弱ですが、意見を出しやすい仕組みづくりを常に意識して取り組んできました。同友会が言う「人間性」と「社会性」が整ってきたのかな、と感じています。これからは「科学性」も伴った形に進化させていきます。


執筆=(株)イケル 山下 秀男

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