「障害のあるスタッフと共に働く中で感じた『人間尊重』の大切さ」 ㈱マスカット薬局 髙橋正志
第4分科会は「障害のあるスタッフと共に働く中で感じた『人間尊重』の大切さ」と題して、㈲奥進システムの奥脇学社長(大阪同友会)と社員の福井謙一さんに報告していただきました。
同社は7人中5人が、身体や精神に障害のある社員です。
福井さんは学生の時に事故に遭い、身体障害者一級であります。彼はずっと「社会に関わっていきたい」「仕事がしたい」という強い気持ちを抱き続けており、そんな中で奥脇社長と運命的な出会いがありました。現在は技術マネージャーとして、また一人の人間として働く喜びを実感しているそうです。一般的には、一級の障害を持てば障害者手当をもらって仕事なんかしないのが当たり前だそうですが、福井さんは積極的に社会に関わっています。仕事のやり方を工夫をして、障害のない人と何も変わらない仕事をしているからです。
同社の社員はすべて正社員であり、お互いが助け合い、協力し合って「働く喜び」を実践している、温かみのある、明るい、清潔感のある会社であります。
グループ討論は「働く喜びを感じられる職場づくりを自社ではどうしていますか?今後どうしていきますか?」との柱で行われました。グループ発表を聞いて感じた事は、「障害の有無に関わらず、私たち人間は『人との関わり・人との関係性』があって初めて生きている価値があるんだ』ということでした。誰もが積極的に社会に関わり、そして「私たちは生きている。世の中から必要とされている」ということを証明したいのではないでしょうか。
同友会は、『労使見解』に基づく人間尊重の経営―人間は誰でも働く喜びと誇りを感じられ、社長も社員も豊かな人間性を育み、共に学び、共に育ちあう社風づくりが大変重要だと言っています。今回の報告者である奥脇社長は、障害のある方を雇用することによって多くの気づきを得て企業変革を実践され、成功している経営者であります。奥脇社長が言うように、仕事を通じて人間として生きているという実感や働く喜びが感じられなければ、人間尊重の経営とは言えない。その追求こそが目指すべき同友会の理想の姿ではないかと改めて気づく分科会でした。
参加者の主な感想
▼報告者お二人のお話に感動した。障害者問題を考えることで同友会の理念(人間尊重、共育など)が浮き彫りになってとても良かった。
▼実際に働いている方の言葉が聞けて良かったです。社長とご本人さんの信頼関係が素晴らしいと思いました。障害者と関わることが少ないからこそ意識も向かないと思うので、こういった会を通し、意識が変わっていけばいいなと思います。
▼障害者雇用を特別のものと考えるのでなく、一人ひとりが働きやすい職場を作ることの中で障害者も働ける場を作っていくこと。一人ひとりの違いに思いを寄せることが大切。働くことそのものの中に喜びを見いだせるようにする。
▼経営者の方が営利目的だけでなく人間尊重の立場で会社の経営にあたられているという話を聞かせていただき非常に感銘を受けました。
▼何事も意思の力が重要だと再確認できました。障害者と健常者の区別なく、能力を量り、的確な評価を行うことで労働意欲を高め、経営の改革を進めることになると分かりました。