中同協第51回定時総会 in 東京
同友会理念の総合実践で持続可能な未来を築こう
岡山から28人が参加
7月4日、5日の両日、中同協第51回定時総会が東京で開かれました。47都道府県から1,700人を超える代議員が集い、岡山からは28人が参加しました。半世紀におよぶ全国の運動の成果と教訓を踏まえ、5万名会員の年度内達成をめざし、経営実践をもとに誇りと確信を持って同友会運動を進めることを確認しました。
初日の全体会では湯本良一・東京同友会代表理事と広浜泰久・中同協会長のあいさつに続き、2019年度の総会議案が提案されました。その後、議案に関連した全19分科会に分かれ、事例報告とグループ討論でテーマを掘り下げるとともに、議案についての意見交換を行いました。
「事業継続」をテーマにした第9分科会は岡山同友会が設営し、(有)まるみ麹本店の山辺啓三社長と(株)奥野組の奥野一三社長が報告。また、「共同求人・社員教育」をテーマにした第5分科会では岡山トヨタ自動車(株)の梶谷俊介社長が中同協社員教育委員長として登壇しました。
翌日の全体会で議事を再開し、全議案が満場一致で採択されました。岡山からは藤井孝章氏、山辺啓三氏、?橋正志氏の3人が中同協幹事に選出されました。その後、中同協周年記念式典が行われ、広浜会長が『同友会運動の将来展望(10年ビジョン)』を発表し、「自助努力を重ね、事業を持続的に発展させ、地域の未来像に自分自身を近づけていきましょう」と呼びかけました。続いて行われた記念講演では、「同友会は経営者の宝島」と題して(株)吉村の橋本久美子社長が登壇し、社員自らが自社製品一つ一つに理念を作り、「理念は自分事」と考え行動するための仕組みづくりなどについて語りました。最後に、次回開催地である北海道の守和彦代表理事があいさつに立ち、北の大地での再会を誓いました。
参加した代議員は、総会で確認した全国方針と同友会運動の方向性を再確認し、各地で啓発・実践していくことが期待されます。
参加リポート
●全国大会に初めて参加して
皆様、とても積極的に参加なさっていて、大会の開催意義を体感いたしました。私は第五分科会「地域の人材育成を中小企業が担う」に参加いたしました。岡山同友会の梶谷俊介氏もパネリストのお一人として登壇なさり、幅広いご経験の中から、私ども中小企業が担うべき人材育成について示唆に富んだお話をいただきました。
その後のグループディスカッションでは、日本の各地からお越しの会員の方々より、それぞれの地域の課題、また実際に課題を解決なさった方法、今後の在り方についての提案など、様々な意見をお聞きすることができました。最後のまとめの時間には、他のテーブルでのディスカッションの内容が共有されました。
地域の人材教育の魅力的な取り組みの具体例が数多く発表され、大変勉強になりました。地域に根差して活動をしている中小企業だからこそできる教育界との連携、社員教育が地域教育につながるという視点が非常に新鮮でした。とてもいい経験をさせていただいたと思っております。
(公財)大原美術館 理事長 大原 あかね
岡山同友会設営・第9分科会【事業継続】
何のための事業継続か~BCP以前に問われるもの
今回、第51回定時総会in東京で第9分科会の座長を務めさせていただきました。座長を引き受けた後で、ある方から「報告が良くても悪くても、良い会だったかどうかは座長で決まる」という、とてもありがたい言葉をいただき、緊張で前々日、夜中2時に目が覚め、そこから寝られなくなってしまいました。もっとも、翌日は寝不足でぐっすり眠れ、爽快な当日の朝を迎えることができましたが…。
今回は、「事業継続」ということで、まず山辺さんの西日本豪雨での体験報告、続いて奥野さんからBCPについての説明をしていただきました。後継者問題の「事業継承」と間違えて参加した人もいたようですが、「BCPについて予備知識がない状態でも、とても分かり易くいい気づきが得られた」という嬉しい感想もいただきました。ただ「BCP以前に問われるもの」という副題に対し、報告や座長のまとめの中でお話ししたのですが、中には意図したところが十分に伝わらなかった方もいるようでした。自然災害など経営環境の変化でも事業を維持し発展させなければなりません。そのためにもBCPを作成するのですが、「そもそも私たちが経営する会社が、お客様や社員や地域のためになくてはならない存在になっているのか? 同友会らしい経営ができているのか?」という問いかけが「BCP以前に問われるもの」だったのです。これが伝えきれなかったことは大きな反省です。
最後に第九分科会の提言として、「BCP専門委員会の立ち上げ」「防災だけじゃないBCPの普及」「全国のお互い様BC連携ネットワーク構築」の三つを挙げさせていただきました。現在岡山では、全国に先駆けて「BCP勉強会」を立ち上げて活動しています。ぜひ皆さんの参加をよろしくお願いします。
座長=(株)賀陽技研 代表取締役社長 平松 稔
報告者リポート
(株)奥野組 代表取締役 奥野 一三(岡山同友会副代表理事・仲間づくり委員長
第9分科会の報告では、(1)事業継続の視点で自社経営を見つめることで企業価値を高め強靭な企業にする (2)全国の同友会会員の事業継続への経験を共有し活用できる場をつくる (3)同友会会員同士だからできる連携 — の3つを問題提起いたしました。
中小企業家同友会は「人を生かす経営」を行うことを理念に掲げ、経営指針に基づく経営を目指しております。事業の継続を妨げる原因は何であれ需給バランスの急激な変化をリスクととらえ、戦略をもって対応できる計画こそが本来のBCPであることを提起しました。どんな環境であろうとも時代の変化に対応し経営を維持し発展させる責任が経営者にはあります。変化をピンチではなく行動してチャンスにまで変えることで同友会会員の真価が発揮されると思います。
岡山同友会では今年6月からBCP勉強会をスタートさせました。自社を強靭にしていくことはもちろん、共に育ち学びあうことで顔の見える連携を深めて、地域の強靭化につながればと思います。
(有)まるみ麹本店 代表取締役 山辺 啓三 (岡山同友会代表理事)
中同協総会の分科会は議案を深めるのが目的ですが、昨年の西日本豪雨水害を体験したことから、「事業継続」の分科会で報告する機会をいただきました。。被災してみて、人として経営者として反省することも多かったのですが、災害から早期復旧でき、今までも諸問題を乗り越えて生き残れたのも、同友会で会社のドメインや経営者の責任について学び続けてきたからだと、あらためて感じた次第です。また今回の報告で奥野さん、平松さんとご一緒してみて、今後さらに社内外の仲間を大事にし、同友会の輪を広げていく必要性も再認識しました。何と言っても人の絆ですね。
事業継続には、承継問題も重要な課題として含まれており、弊社も悩みを持っています。ここでは世代を超えた人の絆、つながりが大きな意味を持ってくると思います。中同協設立50周年という節目の総会で発表させていただけたことに感謝し、学び続けて参ります。
第5分科会「地域の人材育成を中小企業が担う〜産学官連携で地域の未来を考える」
岡山トヨタ自動車(株) 代表取締役社長 梶谷 俊介
(中同協社員教育委員長・岡山同友会常任相談役)
第5分科会は、学習指導要領の改訂を契機に学校教育に同友会がどのように関わることができるのかを、文部科学省の合田哲雄氏を招いてパネルディスカッションで深めました。
合田氏から「今回の学習指導要領では、『社会に開かれた教育課程』を理念とし、社会を子どもたち自身の力で切り拓いていくために必要な力はどのようなものか、先生と社会を担っている人がどう連携していくのかについて対話をして、共に子どもたちを育んでいくことを重視している」との話がありました。私から社員教育と学校教育を一貫して考える必要性と中小企業家が学校に関わることが持続可能のために重要であることを提起しました。その後、徳島、岡山さらには会場から宮城と広島での教育委員会や学校との連携の事例を報告し、教育現場からの同友会に対する期待の大きさと、連携が学校と企業の双方にとって意義のあることだと共有され、今後は積極的に教育関係者との連携を深めることが決意されました。