初の金融リテラシー学習会を開催
●社員のための「人生100年時代の資産形成ガイド」(2月28日)
●経営者のための「社員の資産形成ガイド」(3月15日)
「投資には『お金持ちがするもの』『ギャンブルみたいなもの』というイメージがありましたが、将来の生活資金の備えに役立つことが理解できました」「未経験者には難しい部分もありましたが、投資の基本を学ぶことができました」「つみたてNISA やiDeCo に対する関心が高まった」――これらは、岡山同友会が2月28日に開催した「社員のための『人生百年時代の資産形成ガイド』」に参加した社員たちの感想です。
日本人の平均寿命が過去最高を更新する一方、老後の健康と収入の維持が大きな課題になりつつあります。そのため国は企業の定年延長を推し進めるほか、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「NISA( 少額投資非課税制度)」といった投資による個人向け資産形成制度の普及を図り、公的年金だけではカバーしきれない老後の安定的な資産形成を後押ししています。しかし日本の家計における金融資産の割合は、株式等10%、投資信託は4.3%(21年8月、日本銀行)にとどまり、欧米に比べ「運用によって資産を増やす」という意識が低く、iDeCo やNISAの非課税メリットが十分に活かされているとは言えないのが現状です。また今年4月に成人年齢が18歳に引き下げられ、学生であっても親の同意なく借り入れやクレジットカード作成が可能になったこともあり、若い世代の金融リテラシー向上が社会的な課題になっています。
本企画はこうした背景の下で発案され、会員企業の社員に向けて社会人として最低限知っておくべき金融や投資に関する知識の啓発を目的に開催したものです。
当日は講師に日本証券業協会・金融証券インストラクターの倉橋孝博氏を迎え、人生の3大支出(教育、住宅、老後)の目安、預貯金と投資の違い、資産運用に係るリスクとリターン、長期・分散・積立の効果などの解説に加え、iDeCo やNISA の制度概要、投資信託等の運用のポイント、投資詐欺に遭わないための注意点等の説明を行いました。 また講義後には、事務局の投資経験者が、銀行の総合口座自動貸越しの仕組みや投資信託評価会社の紹介、金融機関による手数料の違い等の説明も行いました。
さらに3月15日には会員経営者を対象に「経営者のための『社員の資産形成ガイド』」を開催し、中小事業主掛金納付制度(iDeCo+) や企業型確定拠出年金(DC)、職場積立NISA など、会社が社員の資産形成を支援することができる諸制度を紹介しました。
今年度から高校でも投資等の金融教育がスタートしましたが、そうした学びの機会を与えられなかった社会人の多くは、身近な金融や投資に関する知識を持ち合わせておらず、お金の管理や運用は本人の判断に委ねられています。一方、テレビではタレントが楽しげに踊り歌う消費者金融のCMが流れ、カード会社からは「今ならリボルビング払いに変更すると特典ポイント進呈!」としつこくメールが送られてくる(リボ払いやキャッシングの金利手数料は一般的に非常に高額)など、世間は利用者の無知につけこむかのような誘惑に溢れています。過去には会員企業の社員が消費者金融を利用して所在不明になった例も報告されています。
中小企業が日本の雇用の約七割を担うとすれば、国民の金融リテラシー向上は経営者の役割でもあるはずです。今後も同様の機会があれば積極的にご参加ください。