備北支部&東備支部合同2月例会・活動報告
「経営は終わりのない積み重ね」~職人気質のトラック野郎が誇り高きドライバーになるまで~
<報告者>奈良同友会・代表理事 川端運輸(株) 取締役会長 川端 章代 氏
日 時: 2024年 2月21日(水) 18:30~
会 場: 岡山国際交流センター(zOOM併用)
<討議の柱>
「同友会で何を学びましたか? その学びを社内にどう活かしていますか?
2月の合同例会では報告者に川端運輸(株)の川端章代会長(奈良同友会代表理事)をお招きし、企業変革と人材育成を積み重ねてきた経営実践を基に学び合いました。今年度2回目となる備北支部と東備支部の合同例会は、支部の垣根を超えて広く会員の知識を交流しようと企画され、社員と経営者が共に学び共に成長してきた同社から学ぼうと24人が参加しました。
川端氏は運送屋の末っ子として育ち、事業を継ぐ意思はありませんでしたが、子供を育てるため事業を手伝い始めます。創業者の父から実質的な経営を任されだした頃ドライバーの飲酒事件が起こり、営業停止処分を受けるなど会社の将来に対する不安で押しつぶされそうになったと言います。安全管理の重大さと人材教育の重要性を痛感し、取引先の信頼を取り戻すことが自分の使命と捉え、同友会に入会し会社の変革に着手しました。
最初に取り組んだのは年2回の社内学習会で、当初はドライバーから不満の声も上がりましたが、「会社の品質を良くしたい!」という川端氏の信念が伝わり、安全対策や品質に対するドライバーの意識が徐々に向上。「社員の言葉が『勉強会、またすんの?』から『次は何勉強すんの?』に変化した。その言葉で会社は変われると確信した」と振り返り、「社員教育は薄紙を重ねるように、根気よく諦めずに続けること。続けることで知らない内に必ず積み重なっている」と強調しました。
最後に川端氏は「縁ある者同士がそれぞれ与えられたものや持っているものを磨いて、育み成長していくことは、共育ちそのもの。経営は思うようにはいかないが、実践を積み重ねてきたようにはなります」と話し、参加者に実践を促しました。その後のグループ討論では、苦悩と経営実践を赤裸々に語った川端氏の報告に触発され、白熱した討議で支部の垣根を超えた交流が行われ、閉会となりました。
参加者の主な感想
●仕事中に起きるさまざまな問題を社員のせいにしていないでしょうか? 業績が上向かない、うまくいかないことを社員のせいにしていないでしょうか? 「経営者には、すべてにおいて経営者としての責任がある」ということを自覚し経営にあたらないといけないと改めて感じました。理念の追求、やりがい働きがいの追求、経営をうまく回すためにも経営者と社員の成長、そして学び合うという社内の風土作りも経営者に求められているものと思います。学びの多い良い例会ではなかったかと思います。
●女性経営者全国交流会で報告を聞いた2022年。今回はどうしても参加したく飛び込みました。あらためて薄紙を重ねることの大切さを学びました。諦めません、何事も。
●同業ということもあり、とても共感出来ることが多かったです。社員教育は積み重ねていくこと。なかなか分かってもらえなくても、諦めずに時間をかけて、共に成長していきたいと思います。
●初めは勉強会に参加する際、鉛筆すら持ってこなかった社員を、たった10年で全員参加型学習企業に変えられたのは、経営者の強い覚悟の表れだと思います。自分ももっと覚悟をもって社員と向き合います。
●「経営と子育ては似ている」と川端氏の報告で話されたように、いまその課題に直面しています。その言葉が自分にとっては、今日、最も心に刺さった言葉です。自分が正しいと思っていたことが、果たして本当に良かったのか。経営にも子育てにも正解はなく、常に学び続ける姿勢が大切だと肝に銘じました。また、数年前と比べると、同友会での学びを自分自身にも会社にも還元できていないと実感しました。会社のことを社員に託して同友会参加することもあるので、同友会で学んだことを会社経営に反映していくようにします(今のままでは社員に申し訳ない)。
●経営者の変革が重要なこと。そして、小さな社会をより良くするために学び続けること。社員の急激な成長は心が育たないので、時間が必要だと考え焦らないこと。薄紙の如く、重ねた結果会社が良くなると信じて焦らず社員教育を進めたい。