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-New Face-第6回
この連載では「よい会社・よい経営者」をめざして学び始めた新会員さんにスポットライトを当て、同友会でどんなことを学び、どんな企業を目指すかを語っていただきます。日々奮闘している会員企業を紹介します。
(有)藤井鉄工所
代表取締役 藤井 幸代 氏
2020年入会・倉敷支部/p>
(有)藤井鉄工所
<所在地>〒719-0302 浅口郡里庄町新庄6073 TEL:0865-69-4000
<事業内容>工作機械の部品加工
<社員数>正社員:12 人、パート:1 人
会社の成り立ち
(奥田)会社の沿革を教えていただけますか?
(藤井)1973年に、義理の父が笠岡市の自宅のすぐ横で創業したのが始まりです。89年に法人化し、今の藤井鉄工所を設立しました。主に工作機械の部品を造していますが、特に得意なのは高精度の切削加工です。リピート品だけでなく特殊部品や一点もののオーダーメイドの注文にも対応しています。
経営者になった経緯
(藤井)2011年に夫が義父の後を継いで2代目社長に就任したんですが、一年半ほどして大病が見つかり、43歳で亡くなりました。夫が亡くなる6時間前に初めて「会社を継いでほしい・・・」と言われ、経験のない私が3代目に就任することになったんです。
(奥田)ご主人が病気をなさってから会社は大丈夫だったんですか?
(藤井)社員が仕事を回してくれていたので何とかなりました。夫は余命宣告されて将来のことを考えていたはずですが、私の性格や仕事の苦労を考えると最後の最後まで口に出せなかったんだと思います。
それでも工場長や税理士さんには内々で相談していたようで、「会社は妻に任せるのでよろしく頼みます」と伝えていたそうです。工場長は夫の葬儀後、不安がっていた社員一人ひとりにヒアリングをしてくれました。すると全員が、「これからも藤井鉄工所で働く」と言ってくれたんです。私はその気持ちを知って「夫が守ってきたものを引き継ごう」と決意したんです。
とは言うものの、当初は会社の経営状態も把握しておらず、毎日の仕事をこなすだけで精一杯だったので、自分でもどうやって経営していたのかほとんど記憶にありません。三人の子供もまだ幼かったので、「この子たちを無事育てていけるんだろうか? 会社を守れるだろうか?」と不安ばかりで、夜になると涙が溢れる日々でした。そんな私を支えてくれたのは社員たちです。自分たちで相談したり工夫したりしながら業務に取り組んでくれて、「この社員たちならきっと大丈夫だ」と心強い気持ちになったことを覚えています。
同友会との出会い
(奥田)大変な経験をなさったわけですが、社員の皆さんが心の支えになってくれたんですね。
(藤井)そうなんですけど、私自身は経営者として会社のために何をしたらいいのか分からなくて途方に暮れていた部分もあるんです。義父も夫の後を追うようにして亡くなり、相談相手がいなくなってしまいました。そんな時、銀行が同友会の会員の方を紹介してくれたんです。その方の「同友会には学べることがたくさんある。決して一人じゃないし、一人で悩まなくてもいい」という言葉に後押しされて入会しました。
経営指針成文化研修会の受講
(奥田)入会してすぐ成文化研修会に参加したの?
(藤井)周りの会員さんの勧めもありましたし、今の私に必要な気がしたので受講しました。研修で課題に取り組むことで、何よりも自社のことを掘り下げて知ることができ、あらためて経営者としての覚悟もできました。社員全員が経営理念を理解して共有できるようにしていきたいです。
今後の展望
(奥田)今後どんな藤井鉄工所にしたいと思いますか?
(藤井)顧客の「想い」を形にするだけではなく、常に期待値を超える高付加価値の製品を提供していきたいと考えています。多能工化を進めながら、共に学び育ちあう社風づくりに取り組み、ものづくりを楽しめる集団になりたいです。女性の採用にも積極的に取り組みたいですね。お客様に対して新しいご提案ができる関係性を築き、必要とされるパートナー企業をめざしたいと思っています。
執筆=フナキ運輸(株) 奥田建志