
魅力発信!
-New Face-第35回
この連載では「よい会社・よい経営者」をめざして学び始めた新会員さんにスポットライトを当て、同友会でどんなことを学び、どんな企業を目指すかを語っていただきます。日々奮闘している会員企業を紹介します。
(株)ブロス 代表取締役 飯田 秀幸 氏
(2024入会・岡山南支部)
<所 在 地> 〒703-8282 岡山市南区藤田2001
< T E L > 086-274-7550
<事業内容> 同人誌の印刷・製本
< U R L > https://www.bros-comic.co.jp/index.html
< T E L > 086-274-7550
<事業内容> 同人誌の印刷・製本
< U R L > https://www.bros-comic.co.jp/index.html
会社の成り立ち
藤 井: | いつから事業をされているのですか? |
飯 田: | まず1970年頃に父が一般的な印刷会社を立ち上げました。ある時、知人が会社を興すことになり経営を頼まれたそうで、その会社がブロスだったのです。ところがその後事業をしなくなり、名ばかりが残っていました。ちょうど父が同人誌に参入する1985年に、一般印刷と区別するためにそのまま社名を使わせてもらって、同人誌印刷をする流れになりました。 |
藤 井: | 一般印刷もしているのですか? |
飯 田: | 今は同人誌一本でしています。 |
藤 井: | 同人誌に参入するきっかけは何だったのでしょうか? |
飯 田: | 父が同人誌の即売会イベントを見に行ったところ大勢の人が集まっていて、出店者が机いっぱいに印刷物を並べている光景を目にしたそうです。その時に「この仕事の何%かでも取れたらすごい!」と思ったのがきっかけと聞いています。 |
藤 井: | 会長は鼻が利くのですね! |
同人誌印刷、ブロスの強み
藤 井: | 同人誌ってそもそもどのようなものですか? |
飯 田: | 同人誌は二次創作と言って、人気漫画のファンがその漫画の登場人物を用いたイラストや漫画を描いたりするものです。私たちの仕事は、同人誌を創る方から原稿を預かって印刷し、製本してお届けすることです。 |
藤 井: | 今はオンラインでデータ入稿して手軽に印刷もできますが、そういったところとの差別化はどうしていますか? |
飯 田: | 同人誌印刷は特殊なところがあって、イベント会場への搬入までしっかり面倒をみるのです。業界の特殊性を理解しているということで、少しずつ受注が伸びています。それに加えての強みは、製本の品質が良いところです。「厚い本でも製本が綺麗で、積み上げてもなだれない」とお客さんが言ってくれます。 |
藤 井: | 他社は厚い本を扱わないのですか? |
飯 田: | ページ数が多いと手間が増えるので、他社は敬遠するみたいです。当社は派手なアピールはしませんが、堅実が一番だと思って丁寧な仕事をしています。そうすると、本の奥付(書籍のタイトルや著者名、発行日、出版社名を表示している箇所)を見て、直接問い合わせが入ることもあります。 |
藤 井: | モノに語らせるのですね。 |

デジタル化の影響
山 下: | デジタル化の影響はありますか? |
飯 田: | 印刷業界含め同人誌業界も影響は受けていますが、うちは影響が少ないです。 |
藤 井: | なぜでしょう? |
飯 田: | うちのお客さんの9割が女性作家なのですが、本を創る工程を楽しみたい方が多いのです。紙にこだわったり、箔押し加工をしてみたり―そういった方々のおかげで影響がまだ少なくて済んでいます。 |
藤 井: | 何歳くらいの方が多いですか? |
飯 田: | 30~50代の方ですね。女性客に関してはまだしばらく「本自体を楽しみたい」という需要は減らないのではないかと見込んでいます。 |
現在の課題と10年ビジョン
山 下: | 現在の課題はどんなことでしょうか? |
飯 田: | 少子化ですね。今の若い世代はそもそも人数的なボリュームが小さい上に、デジタルネイティブが主流になってくるので、どれだけ本の魅力が伝わるかが不安要素です。 |
山 下: | そこにどのように立ち向かいますか? |
飯 田: | 業界でもっとシェアを拡大したいですね。10年後を見据えて考える必要があると感じています。 |
藤 井: | 新しい取り組みは何か考えていますか? |
飯 田: | 二次創作ですからグッズをつくっても利益の出るような売り物にはならないので、同人誌のおまけとして付けるグッズを企画して、イベントへも出店していこうと計画しています。自社で加工できる設備投資ももちろん考えていますが、一方で協力関係を築けるような外注先も検討しています。 |
(株)イケル 山下 秀男