【21.12.20】第7回「魅力発信！－New Face」一般社団法人 フィール

この連載では「よい会社・よい経営者」をめざして学び始めた新会員さんにスポットライトを当て、同友会でどんなことを学び、どんな企業を目指すかを語っていただきます。日々奮闘している会員企業を紹介します。

(一社) フィール
代表理事　石戸 紀代美 氏
2019年入会・岡山南支部

創業までの経緯と今までのあゆみ

（大西）フィールを興すまでの経緯をお話しください
（石戸）1992年に千葉から岡山に来て、写真の仕事をしていました。2009年に「食べるラー油」ブームに乗って瀬戸内のじゃこラー油とえびラー油を作り、これがヒットして百貨店との取り引きが始まったことを契機に法人を立ち上げました。しかしブームが過ぎるとたちまち経営が厳しくなり、事業転換を余儀なくされました。そして、お客様が日常的に手に取って食べるものを扱おうと考え、昔から好きで趣味でも作っていたパンを扱うことを思いつき、「パンとお惣菜の店A-kitchin」をオープンしました。
（大西）最初から順調でしたか？
（石戸）スタッフを雇用してスタートしたんですが、関係がきちんと築けず全員が辞めてしまったり、藁をも掴む思いで頼った方に詐欺まがいなことをされたりして、一旦無期休業せざるを得なくなりました。
　そんな時に知人が、障害者が働くパン屋を紹介してくれて見学に行きました。そこは社会福祉法人が運営する就労継続支援Ａ型事業所だったんですが、障害者が自発的に生き生きと仕事をしている姿を目の当たりにして衝撃を受けました。そして「今度は障害者の方々と一緒に仕事をしてみたい」という思いが募り、2012年に一般社団法人フィールを設立し、翌年Ａ型事業所の「にこにこパン」をオープンしました。法人名は「いろんなことを働く仲間と一緒に感じていきたい」という思いから「フィール（Feel)」と名付けました。

同友会で学びたいこと

（大西）フィールにたどり着くまでに紆余曲折があったんですね。同友会に入会したのはどんなタイミングだったんですか？
（石戸）法人を設立してからの10年で、菓子工房、不動産物件のデータ入力、コッペパン専門店など様々な事業を立ち上げることができましたが、経営理念と呼べるものはありませんでした。やはりしっかりした理念を確立し、経営の勉強をしたかったのが入会の動機です。
　就労支援をしていると毎日のように様々な問題に直面しますが、そのたびにスタッフや私自身の気持ちがブレることがないようにしたいと思います。でも最近は家族のことやコロナの影響で同友会に参加できていなかったので、これから「しっかり学ぶぞ！」と宣言したいです。

社員との関係

（大西）それは楽しみですね。でも石戸さんが会社を不在にしても大丈夫ですか？
（石戸）幸いなことに今は何でも相談しやすい環境ができているので、困ったことがあったら頼ってくれると思っています。私がそう思っているだけかもしれませんが（笑）。実際、留守にすることが時々ありますが、サービス管理責任者がきちんと報告してくれるので助かっています。店舗が点在しているので頻繁に出向くことが難しいところもあるんですが、電話やグループラインを活用して情報共有するようにしています。過去の反省もあるので、社員への対応やコミュニケーションの取り方には気を遣っています。コロナ前に全事業所の全スタッフが集まる大忘年会を計画していたのですが、実現していません。コロナが落ち着いたら是非実現させたいと思っています。

今後の展望

（大西）この先、どんな組織にしていきたいですか？
（石戸）障害の有無に関わりなく、誰もが働きやすい会社にしたいと思います。働きやすい職場というのは、自分の仕事の目的が明確でやりがいを感じることができ、社員同士のコミュニケーションがスムーズで嬉しいことや辛いことでもみんなで共有できるところだと思うんです。当社もそうなりたいですね。そして、経営者として雇用を守ることはもちろん、自分がいなくても会社が安定してまわる仕組みも作っていきたいと思います。
　2022年7月には障害者のグループホームを立ち上げる予定です。この地域で一人一人が自立して生活できるよう支援させていただこうと思います。みんなで助け合い、共に楽しく生きていくことができる社会になったら嬉しいです。

「クロワッサン系」と「塩パン」です。社内で好きなパンランキングを作ったりしているんですよ。これも社内でのコミュニケーションのひとつにしています。

執筆：（株）二鶴堂　大西　肇