魅力発信!
-New Face-第14回
この連載では「よい会社・よい経営者」をめざして学び始めた新会員さんにスポットライトを当て、同友会でどんなことを学び、どんな企業を目指すかを語っていただきます。日々奮闘している会員企業を紹介します。
倉敷ボーリング機工(株)
代表取締役 佐古さや香 氏
2019年入会・津山支部
倉敷ボーリング機工(株)
<所在地>〒712-8052 倉敷市松江2-4-20 TEL:086-456-3877
<事業内容>溶射加工および溶射前後の精密機械加工も一貫対応をおこなっている表面処理メーカー
URL:同社ホームページ
会社の成り立ちと業務内容
(奥田)会社概要と業務内容を教えて下さい
(佐古)1957年に祖父が創業した会社です。その後を父が継ぎ、私で3代目になります。主に建設工具や機械部品などの耐久性を高めるための「溶射射」という表面加工を行っています。
「溶射」って耳慣れない言葉ですね。
(佐古)粉末にした金属やセラミックスを熱で溶かして、保護したい部品の表面に吹き付けることで被膜層を形成して強度を高める技術です。他にも、溶射による防錆加工や防熱加工、電気を通さないようにすることもできます。お客様が機械部品を使う用途によって様々な加工ができるんです。
(奥田)僕たちは普段目にすることがないのかな?
(佐古)当社のメイン顧客は製紙工場や化学プラントが多いので、そういう意味では一般消費者の目にとまることは少ないかもしれませんね。でも、例えばガードレールの白い塗料の下には溶射で耐久性を高めた金属が使われていたりします。
(奥田)縁の下の力持ちか!
(佐古)そうですね。最近はSDGsの観点から、部品などの耐久性を高める溶射にも注目が集まりつつあります。当社でも溶射の認知度をもっと上げていきたいと思って様々なPRにも取り組んでいます。
事業承継を支えた社内の「学ぶ風土」
(奥田)佐古さんはどんな経緯で社長になったんですか?
(佐古)大学卒業後すぐに入社して、数年は常務として企画業務に携わりました。父が病気になったため、療養中に業務を引き継いだんですが、他界したため2010年に私が社長になりました。でも想像以上に大変でした。
(奥田)例えばどんなことが?
(佐古)金融機関の届出名義人などを変更したのですが、その後に結婚して苗字が変わったのでもう一度手続きをすることになり、余計な費用がずいぶんかかりました。それに、女性経営者というだけで取引先に不安がられたりもしました。社員も心配だったようです。
(奥田)そんな状況をどうやって乗り越えたんですか?
(佐古)私は最初からできないことは一人で頑張りすぎないようにしていました。ずっと事務方でやってきたので、お客さんと商談を進めるのも社員だし、研究開発も社員です。自分の経験が不足していることは積極的に社員に任せるようにしてきました。それができたのは父のおかげです。父が幹部を育ててくれていたので社内に学ぶ風土がほぼ定着していました。今でも技術講習や研修にかける時間は他社よりも多いと思います。私がトップダウン型の経営者ではなかったので社員ものびのびと仕事に向き合うことができ、結果的に取引先も安心してくれたんじゃないかと思います。
今後の展望
(奥田)今後はどんな会社にしていきたいですか?
(佐古)技術を磨いて溶射の可能性をもっと拡大したいですね。そのために半導体部品専門の子会社を設立して新分野にも挑戦していますし、航空業界にも進出したいと考えています。溶射が役に立つことは他にももっとあるはずなので、社会の困りごとの解決策を自分たちで提供していけるようにしたいです。そして、地域の方々に「倉敷ボーリング機工が地元にあって良かった」と思われるような企業になり、うちで働く社員に誇りを持ってもらえる会社を目指したいです。
執筆:フナキ運輸(株) 奥田 建志